〜8.ニアミスする恋人達〜


日向と日陰、まさにそんな世界を行ったり来たりする瞳。
一日の内に和希と会えるのは食事をする朝と夜だけ。会えない間は彼との思い出を顧みたり、将来を想像しながら過ごすのだが、これが彼女的には結構楽しかったりもした。
土曜日のデートの事を思っては講義中に思わずニヤついてしまい、友人達に指摘される事もあったり、彼女は彼女なりに会えない辛さを上手く別の方向に転嫁して過ごしていた。
ここまでが「日向の瞳」。

麻衣との事を考える時、彼女から笑顔が消える。
相変わらず彼女からは連絡はない。勿論、和希からも麻衣の話は一切無く、いつも通りの生活をしている。あまりに何も無さ過ぎて、あの出来事は本当だったのか、と疑う瞬間もある程。
しかし、日課となった岬の部屋へ行くその時刻になると、彼女の心の中で疑惑は現実味を増し、ケジメをつけられない中途半端な苛立ちと不安に苛まれ、結局は岬に慰めてもらう事になる。
あれから4日連続で岬に抱かれている。
彼の部屋で行われる淫靡な秘め事は、快活な笑顔と闊達明朗な態度に溢れる日向の瞳に対し、日常生活から隔離された非日常感がもたらす、彼女にとって都合のよい「日陰の瞳」を演出していた。
自宅への帰り道の過程で、日陰の自分から日向の自分へ転換する術も身につき始めていた。
勿論、これを彼女自身是とする事はなく、抱かれた直後は自己嫌悪、自身喪失、論理矛盾等、あらゆる自己否定で自らを蔑む毎日。
しかし、自分を貶めれば貶める程、その裏腹で和希を想う気持ちが益々強くなっていったのも事実。
4日目の夕方も、岬から翌日の誘いを受けたが、キッパリと断っている。勿論、和希とのデートがあるからだ。

そして、土曜日の朝がやってきた。
めずらしく葉月に見送られて8時に自宅を出た二人は渋谷へ向かった。
行き先はラブホテル。
恋焦がれるパートナーと久し振りに二人きりになり、これから先はいつこのような時がくるのか分からないとなれば、二人の思いは一つ。
和希と瞳は家を出た時から片時も離れることはなく、恋人繋ぎは切符を買う時ですら解くことは無かった。
渋谷の駅で降りて緩やかな坂を歩き、喧騒を抜け出して脇道に逸れる。
一晩中愛し合ったカップル達が逆方向へ向かうのを横目で見ながら、二人はラブホとは思えない洒落た外観の洋館に入っていった。
部屋に入るや否や、抱き合いながら口づけを交わす二人。
啄むようなキスをしては見つめ合い、微笑み合いながらまたキスを重ね、それは次第にお互いの舌をなぞり合う濃密なものへと変わっていった。
瞳にとって身長差の無い和希とのキスは体勢的には楽であり、何時間でもしていたいと思えるものだった。

瞳、凄く積極的だ・・・
そんなに俺に抱かれたかったのか?
マジで嬉しい
あ、そんなに舌を入れてきて・・・凄くエロいな・・・
ああ、頭がおかしくなりそうだ・・・

シャワーも浴びずにベッドの上で絡み合う二人。キスは途切れることはなく、唇はずっと密着し、舐め合ったままの状態で、和希は少しづつ瞳の服を脱がせていった。
全裸にした瞳を上から見つめると、彼女は思わず胸を両腕で抱くように隠す。以前の恥ずかしがり屋の瞳に戻っていた。

違う・・・
やっぱり先生に見られると、凄く恥ずかしい
心臓が止まりそうなくらい、ドキドキしてやばい・・・

自ら口に含み、男に止められるまで何十分もフェラチオし続けた昨日の瞳の姿はそこには無かった。
最愛の人の前では、意識せざるとも保守的になってしまう。それは「猫を被る」という事ではなく、心のどこかで、全てを曝け出すことで相手に予想だにしない違和感や不快感を与える事になるのでは、という不安感があるのだ。つまり「引かれないか」という事。
勿論、和希に何度も抱かれているのに今更、という気持ちもあったが、それでもやはり心の片隅で、羞恥心に似たその気持ちを完全に捨て去る事はできなかった。
たかがそんな事で嫌われるはずもないのだが、彼に恋する彼女の心は、そんないささかの不確定要素すら排除したかったのだ。本心は、自分の身体で愛する人をもっともっと気持ちよくしてあげたい、という想いに溢れているにも関わらず・・・
脳から液体がじんわりと分泌されるのを感じながら、瞳はパンツ一枚になった和希を見上げていた。
大きくエラを張る肩の筋肉、盛り上がった胸筋や深く彫られた腹筋は、ある意味芸術品とまで言える程の完成度の高さ。しかも、最近の男がジムに通って鍛え上げるやわな「観賞用」の類いのものではなく、まさに戦う男の為の戦備品。それを知っている瞳は、和希の裸を見るだけであそこが熱く潤んでくるのを感じた。
和希が最後の一枚を脱ぎ、勃起したペニスが露わになる。
昨日見た別の男のものと比較して半分程度しかないそれを見ても、彼女は何ら落胆する事はなかった。理屈抜きで愛する男の全てが愛しかったのだ。

先生の、凄く硬くなってる・・・
私を見て、そうなってるんだよね
ああ、触れたい・・・
そして、そこにキスしたい・・・
先生とキスする時みたいに、舌で愛撫したい・・・

瞳は和希の舌と指が自分のヴァギナを愛撫するのを上から眺めながら、徐々に高まるに連れ、今度は受身でいるだけの自分にもどかしさを感じ始めていた。

「せ、先生・・・もう、お願い」
瞳の顔を見上げる和希。
「もう私、我慢できない・・・早く先生と一つになりたい・・・」

興奮で真っ白なお腹を上下させながら眉尻を下げ、潤んだ目で懇願する瞳の表情を見て、それだけで射精してしまいそうな感覚に襲われる和希。
コンドームを着けて、彼女の開いた両脚の間に座る。彼女のヴァギナは、彼の唾液と中から溢れる愛液で、下のシーツにシミを作るほど潤っていた。
亀頭を膣口にあてがい、ゆっくりと挿入していくと、ニュルっと何の抵抗もなく根元まで入ってしまった。
瞳の中は熱く、うねるように彼のペニスに絡みついてくる。
両手を広げる瞳に身体を預け、強く強く抱き合いながら腰を動かし始める。

「先生・・・先生・・・」
「瞳・・・瞳・・・」
只管お互いの名前を呼びながら、愛に溢れたセックスをする二人。
和希は腰を微妙に調整し、膣口入ってすぐ上の壁を集中的に突く。
「ああ、先生・・・気持ちいい・・・」

瞳・・・凄いよ・・・
なんか、凄く濡れてるよ
あ、瞳・・・俺の耳にキスしてる?・・・
それに・・・微妙に腰動かしてない?
どうしちゃったんだよ、瞳・・・エロ過ぎるよ・・・
やっぱホテルだから興奮してるの?・・・
だ、だけどそんなにされたら、俺・・・

迫り来る射精感を誤魔化すため、和希は30秒腰を振っては30秒休む、というサイクルで間を持たせようとしていた。

先生・・・いきそうなの?
いいよ、いっても・・・先生が気持ち良くなってくれれば・・・
でも、あの、もう少しだけ・・・抱き合っていたい・・・
先生をもっと感じたい・・・
もう少しで、私も、気持ち良く・・・なれるから・・・
だ、だから、いいよね・・・
引かないでね・・・

「先生?」
「何?」
腰の動きを止めて瞳を見つめる。
「あ、あの、私、上になっても・・・いい?」
片手で口元を抑えながら、真っ赤になって提案する瞳の顔を見て、またしても危うく射精しそうになる和希。
「う、うん、いいよ・・・」
自分でも声が掠れているのが分かった。瞳よりも寧ろ和希の方が緊張していた。
股間を密着させたまま、彼女の身体を起こして騎乗位の体勢になる二人。
自分の腰に跨る瞳を下から見上げる和希。彼にとっては生まれて初めて見るその光景。 濡れた陰毛が絡み合い、程よく肉付きの良いお腹が艶かしく蠢く。圧巻なのは、お椀型に張り出した形の良い乳房だった。
全く形の崩れない大きな胸に両手を伸ばし、その重量感を楽しみながらゆっくりと揉み上げていた。
プリンのように柔らかくたわわで、それでいて十代特有の張りのある乳房を持ち上げるように揉んでいると、彼女もそこに両手を重ね、そしてゆっくりと腰を動かし始めた。

やばいよ・・・
エロ過ぎるよ、瞳・・・
いつの間にそんなエロいこと出来るようになったんだよ・・・
いや、まずいって、本当に・・・
俺、もう、すぐ・・・

「あっ、あっ・・・先生・・・気持ちいい・・・あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」 
切なそうな表情で腰を揺らされて、和希はあっという間に射精してしまった。
腰をガクガクと震わせる和希に合わせ、瞳も腰を前後に細かく律動させた。
射精が落ち着いた頃、身体を倒してきた瞳を抱き締めながら彼は言った。
「ごめん、こんなに早くいっちゃって・・・」
「ううん、私も気持ちよかったよ・・・凄くよかった」
これは瞳の本心だった。
愛する男と肌を合わせるだけで、彼女は例えようのない多幸感に包まれるのだ。エクスタシー云々の話ではなく、身体と身体、心と心が固く結びつくような和希とのセックスは、何にも換え難い、至福の瞬間をいつも彼女にもたらしてくれる。

「先生、大好き・・・本当に、好き」
「俺も、だよ。大好きだよ、瞳」
「絶対、絶対に離さないでね・・・私の事、つなぎ止めておいてね」
「勿論さ・・・」

瞳に初めて言われた最後の言葉に若干の違和感を感じながら、彼は彼女の頭をいつまでも撫でていた。




「あっ!あっ!やんっ!・・・ああっ!そ、そこっ!そこそこっ!あああんっ!気持ちいいっ!」
広めのワンルーム、奥の窓際にあるベッドの上で、背面測位で激しく腰をぶつけ合う美男美女のカップル。
あまりのピストンの激しさで、女の小ぶりな胸が強引に上下に揺らされている光景は卑猥の一言。
正常位に変え、男はその巨根を下からズンズンと押し上げるように叩き込み、同時に上から唾液を女の口めがけて垂らす。女はそれを大きな口を開けて受け取り、飲み干し、そしてまた口を開ける。
「もっと、もっと飲みたあぃ、潤也の唾ぁ・・・」
岬の首に両腕を回し、大股を広げて彼の唾液を乞う姿は、とても大企業の秘書とは思えない。
「もう、いきそうかも・・・」
「一緒に・・・い、一緒に、ね?ね?」
彼女の臍が赤くなるほどそこに食い込ませていた親指を抜き、BかCカップ程度の胸の乳首をギリギリと抓り上げ、子宮口の奥まで乱暴に、容赦なくピストンを叩きつけ、一気に絶頂まで昇り詰めていった。
「んはっ!あんっ!あんっ!あんっ!あんっ!あふぅっ!・・・はあぅっ!・・・い、イクッ!イクッ!イクイクイクッ!・・・イグッ・・うぐ・・んんんんっ!」
身体を硬直させ、ガクガクと痙攣し始めるリカコを上から眺め、膣内にその日最初の射精をした。

前日瞳を送り出した後、リカコの部屋で食事を取ってそのまま泊まった
今日は夕方までこいつと一緒の予定。買い物に付き合ってやる約束だ
昨夜は前と後ろに1回づつ中出ししている
そして、今日はこいつのフェラで起こされて、そのままセックス・・・
リカコの会社の役員連中、こいつのこんな顔見たら卒倒するだろうな
セックス中毒なんじゃねえの?こいつ

岬はペニスを膣から抜くと、精液と愛液まみれのそれをリカコの顔に持っていった。 彼女は虚ろな目でそれを見つめ、咥え、綺麗に掃除をするように彼の股間全体に舌を這わせていった。岬が少し腰を前に進め、アナルを彼女の顔に押し付けるようにすると、彼女は必死になって彼の肛門を舐め、舌先をねじ込み、唇を押し当てて強く吸引した。その間も右手は彼のドロドロのペニスを忙しなく扱きながら。

「お前さあ、中毒になってるだろ?」
「そんな事ないよ」
「いや、絶対セックス中毒だって」
「それを言うんだったら、潤也中毒だよ、私は」
「なんだそれ」
「潤也の為だったら何だってできるし、したい、私」
「何でも?」
「うん、何でも」
「マジかよ」
「本当。言ってみてよ」
「じゃあ、お前の会社の社長のハゲ頭叩いてこいよ」
「いいよ」
「は?嘘だろ?」
「本当だよ。簡単じゃん。他は?」
「・・・じゃあ、俺のおしっこ飲んでよ」
「全然オッケーだけど」
「・・・マジ?」
「だから本当だって。できるよ、私。貴方のなら」
「・・・・・」
ベッドの上で大股開きで横になる和希の足元で、彼の足の指一本一本を丁寧にしゃぶりながら視線をこちらに向けて話しかけてくるリカコ。二重で涼しげな目のハッキリとした顔立ちは、見ているだけでも勃起を促してくる。
「じゃあ、俺のウンコは?」
「いいよ」
「・・・・お前、そういう趣味あんのかよ・・・」
「そんなのないよ。潤也のだったらって事。他の人のなんて絶対無理、有り得ない、死んだ方がマシ」
そう言って彼の両足を押し上げ、所謂チングリ返しの格好をさせると、睾丸を掌で抑えながら肛門を何度も舐め上げ、唇を押し付けて強く強く吸引し始めたリカコ。
「わ、分かった。取り敢えず、俺はそんな趣味ねえし」
「うん」
「だけど、ちょっと小便はしたいかな・・・」
「本当に?」
「浴室・・・行くか?」
「うん、行く行く」
「・・・・・」
ニコニコと岬の腕に纏わり付くリカコ、二人はシャワールームへと消えていった。




渋谷の大型書店で目当ての書籍を10冊程購入、配達の手配を終え、二人は渋谷の街をブラブラしていた。
表参道をゆっくりと上りながらウィンドウショッピングをする二人は、誰が見ても仲の良いカップル。すれ違う殆どの男が瞳の容姿を二度見したり、中にはすれ違った後に振り返ってまで彼女の後ろ姿を追う者もいた。
そういう女性が自分の彼女である事に、意識しないようにしていても優越感に浸ってしまう和希は、そんな邪な心を瞳に見透かされないよう、努めて平静を保つ。
しかし、当の本人は自分が見られていることに極めて鈍感なままだったのは、彼女には昔から和希しか見えていなかったというのがその理由。

楽しいな
本当に、楽しくて仕方がない
先生と手をつないで渋谷歩くのなんて、凄く久し振りだよね・・・
・・・だけど先生、稽古まで後1時間もない・・・
楽しい時間って経つの早い・・・
このまま時間が止まってしまえばいいのに

彼女はより一層、彼の左手を握る右手に力を込めた。




「リカコさ、どんな靴買うんだっけ?」
「取り敢えず見てから。候補はいくつかあるんだけど、最後は潤也が選んでよ」
青山通りを行く二人は、どこか微妙な距離感で歩いていた。友達以上、恋人未満的な立ち位置とも言える。
リカコが務める商社は青山通りにあり、休祝日関係なくほぼ年中会社は営業している。この界隈を休日歩く際には、会社や取引先関係者と会う可能性も否定出来ないため、秘書という立場上、彼女は岬と一応一定の距離を保って歩くことにしたのだ。
普段のリカコは至って真面目で聡明な女性なのである。

しかし、やっぱ普段は真面目だよな、リカコって
この凛とした歩き方一つ見ても、昨日の夜から俺とドロドロのセックスしまくってたとは誰も思わないよな
ついさっきまで浴室の床に正座して俺の小便身体に浴びて喜んでたくせによ
勃起したままのチンポ咥えて直接小便飲んでる時は流石にちょっと引いたけど・・・むせるくらいならあいつも無理しなきゃいいのにさ・・・今度はもっと上手にやるからとかさ・・・

「ん?どうしたの?何ニヤついてるの?」

そりゃそうだろ、下は紐みたいなTバック履いてんのに、そんなミニのふわふわワンピース着てんだから。ちょっと風が吹いただけで丸見えだぞ?
まあ、俺が履けって言ったんだけどな・・・
・・・・ん?
・・・え?マジ?
瞳ちゃんか?あれ・・・・・

青山通り側から表参道を下って行く岬の高い視線からは、下から登ってくる人達の顔が一望でき、その中で背の高い、ひときわ目立つ美しい女性を捉えるのは容易な事だった。

あ・・・やっぱ瞳ちゃんだ!
ああ、凄え美人だな・・・いや、こうやって見ると本当に可愛い女だわ
てか、隣、誰?
まさか彼氏か?てか、あれが彼氏?は?
ぷっ・・・笑っちまう
なんだよ、熊のお散歩?
いや、しかし美女と野獣つうか、美女とぬいぐるみ?
マジ笑える
瞳ちゃんがヒールの高い靴履かない理由がやっと分かったよ
何なんだよ、あのチビ、うけるわ〜
てかさ、このままだとお互い擦れ違うんじゃね?
結構ハプニングだよな、これって
あ・・・なんだよ・・・
瞳ちゃん、小路に逸れちまったよ・・・・
な〜んだ、ちょっと残念

「ねえ、さっきから何ニヤニヤしてんの?」
「お前、ずっとお尻丸見えだよ」
「えっ!嘘っ!」
慌てて後ろを両手で抑えるリカコ。
「嘘嘘!冗談だよ!」
「も〜う、なによ〜」
「てかさ、こういうの、デートみたいで楽しいかと思ってさ」
その言葉を聞いた途端、俯いて恥ずかしそうに笑うリカコ。
「あのさ、お前のエロい太腿見てると、また勃起しそうでヤバイんだけど」
「え?・・・・ラブホ、行く?」
「いや、そこの歩道の石段に座って座位でしようよ」
「本気?」
「勿論」
「・・・・・いいよ・・・」
「ごめん、嘘」
「・・・・・」
無言で岬の胸を叩いてくるリカコは、真っ赤になって恥ずかしそうではあったものの、それ以上に嬉しそうでもあった。
「もう!マジむかつく!」
美男美女が人混みの中で戯れる様は、ドラマのワンシーンを彷彿とさせるほど絵になっていた。




なんか急に強引に手を引かれて小路に入ったけど、あんま賑やかじゃないよな、ここ
瞳、この先にお目当てのお店あるのかな?
「なんか見たいお店あるの?」
「え?・・・ん〜、えっとね・・・」
「結構マニアックな通りだけど、あんまお店ないよな」
「そっか・・・あ、でもね・・・」
「別の方に行く?」
「うん・・・でもね・・・」
「元の道に戻ろうか?」
「いや、だから、ちょっと待ってって!」
「・・・あ、ごめん・・・」
「・・・・・」
あれ?なんか瞳、機嫌悪くなった?
俺、なんかしたっけ?

一瞬にして会話がぎこちなくなる。
若干落ち込んだ様子の和希を横目で見ながら、瞳は身につまされる思いをしていた。 

・・・さっきの、絶対に岬さんだった・・・
こんなところであの人に会うなんて・・・
胸が騒ぐ・・・嫌だ・・・
私達の領域に入ってきてほしくない
絶対に、嫌だ
だけど・・・
隣にいた人、誰なんだろう・・・凄く綺麗な人だったけど
岬さんとベタベタしてたわけじゃないけど・・・バイト関係の人?・・・
ごめん、先生、今私に話しかけないで欲しい・・・
だから、そんな事、どうだっていいじゃない
今はやめてってば!
・・・・・いや、御免なさい・・・先生
私、何イライラしているんだろう・・・
先生にあたるなんて・・・
ごめん、先生、せっかくのデートなのに・・・御免なさい・・・本当に御免なさい

「俺、そろそろ行かなきゃ」
「え・・・もうそんな時間?」
「ここからだったら、もう駅に向かわないと」
「うん・・・」
二人は手を繋いだまま、小路を抜けて竹下通りに合流、そこから原宿駅へ向かって人混みの波に乗っていった。
「先生?」
「ん?」
「さっきはゴメン・・・」
「え?いや、別に何も気にしてないけど・・・」
「今度はいつデートできるかな・・・」
「ああ、う〜ん・・・」
「先生には勉強頑張って欲しいけど・・・」
「よし、なんか上手い理由考えるよ」
「本当に?」
「うん。俺もたまにこうして瞳とデートできたほうが勉強はかどりそうな気がするし」 
ぱあっと笑顔を咲かせると、和希の左手に両手を繋いでブンブン振る瞳。
「絶対だよ?絶対にね?」
「うん!絶対にな!」

外回りの山手線の電車の中でも手をつないで寄り添う二人。途中の駅で和希を送り出し、一人席に着いた瞳は、携帯にメール着信の表示があることに気付いた。
それは岬からだった。
瞳は天を仰ぎ、目を瞑る。
心臓が鼓動を速め、口の中が乾いてくる。
彼女はメールを開くことを躊躇していた。
できれば和希とのデートの余韻を楽しみたかった。
できれば今日一日は日向のままでいたかった。
でも、そのメールが届いた事自体が、既に彼女に日陰の世界を思い出させてしまっていた。
胸の騒つきを抑えながらメールを開く。

「今渋谷。4時まではマルキュー傍のスタバにいるから、よかったら来てよ」

やっぱり・・・私達に気付いていたんだ・・・・・

がっくりと肩を落とし、もう一つの現実に無理矢理向き合わされる。
岬の存在を考える時、日陰の瞳が顔を出し始める。
麻衣からは今日も連絡がない事に気付き、和希から今日も何も言われていない事に気付き、そして・・・・瞳の中の「女」が疼き始める。
4日連続で抱かれ、気が遠くなるほど何度も何度もアクメへ導かれ、そして彼にセックスで二人が高まる為の術を教え込まれた。セックスが共同作業である事も教え込まれた。
嫌でも身体に刻み込まれ始めていた岬の刻印を、気付かないふりをする事はもう出来なかった。
瞳は自分に失望した。もう何度目か分からない。
ひょっとすると、失望して自分を蔑むことを免罪符にして割り切ろうとしているのかもしれない。

私、本当にずるい女・・・
最低最悪な女・・・




1時間後、道玄坂のホテル街を瞳は岬の後をついて歩いていた。
週末のホテルはどこも賑わっていて、彼は中々空室を見つける事が出来ないでいたようだ。
瞳は心の中で、このまま部屋が見つからないで欲しい、と願っていた。
しかし「ここしかないね」と言われ、手を引かれるままに入ったホテル、そこは今朝和希と入ったホテルだった。

ここは、嫌・・・

思わず口から出そうになったその言葉を私は我慢した
乗っていた電車をわざわざ降りて、逆回りの電車で戻って彼に会いに来た私が、今更何を言おうというのか
この人が待つ場所に、自然と駆け足で向かっていた私が、今更どの顔で綺麗事を並べようというのか
たとえそこが先生と入った場所と同じだったとしても、私に何かを言う資格などあるはずがない

彼に手を引かれてエレベーターに乗り、入った部屋は今朝二人が使ったまさにその部屋だった。

こんな偶然、あり得ない・・・
私はきっと神様に試されているんだ・・・
私は部屋を出ようとしたけれど、彼に腕を掴まれ、抱き締められてしまうと、もう抗う事は出来なかった
それどころか、彼の大きな身体に包まれて、なんとも言えない居心地の良さを感じてしまっている
神をも恐れない行為だとしても、私は目の前の強く、逞しい男に身体を預ける事を無意識に選んだ

瞳はいつものように、精一杯背伸びをして岬の首にぶら下がるように腕を回すと、夢中になって彼と唇を貪り合った。

この人のキス、やっぱり凄い・・・・・

二人は部屋の中に入るほんの僅かな時間ももどかしそうに、玄関でお互いの服を剥ぎ取るように脱がしていった。



23:05 : 投稿作品 : comments (11) : trackbacks (0)
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Comments

今回は更新のペース早いな

次回も楽しみに待ってます。
...2013/08/12 11:45 PM
確かに早いな
次も楽しみにしてます
...2013/08/12 11:51 PM
岬のゲス具合が貯まらないですね。
ばれてからの修羅場の想像が止まらないぜw

岬との関係が、ばれないとかのオチは止めて欲しい!
あと和希が、落ちぶれるなどの彼氏がダメダメな展開も・・・
ちゃんと修羅場までお願いしますw
NTR修羅場スキー...2013/08/13 12:51 AM
箸休め的な回
...2013/08/13 02:19 AM
瞳もビッチだよなあ。
...2013/08/13 03:03 AM
なんかビッチすぎて・・・
...2013/08/13 11:36 PM
瞳が岬に抱かれるようになってやっと一週間程度ですので、他のNTR作品に比べるとまだまだのような気がします。だから「瞳はビッチ」発言が出て、嬉しさ半分驚き半分です。エロが少しクドいのかな。(次回もクドいですが(笑))
私の座右の銘は「浮気をする女は何度でもするし、しない女は一生しない」です(笑)。勿論、瞳は前者ですし、世の中意外とこういう女性の方が多いのでは、とも思っています。
ネタバラシ、という程では無いので言っちゃいますが、瞳が和希を想う気持ちは永久に不滅です。
頼り甲斐とか強さとか、女性が男性に求めるものは色々とありますが、彼女が和希にしか抱かない特別な感情がある為、ここはしっかり守っていく部分だと考えています。
さて、物語は終盤に入っていきます。三人の絡みは益々多くなっていきます。
私はここの皆さんとほぼ同じ感性だと思いますので、期待は裏切らないと思います。
ハッピーエンドで読後感爽やか、を目指します。あくまで目指すだけですけど・・・
へたっぴな文章ですが、最後までお付き合い頂ければ幸甚です。
作者...2013/08/14 07:08 AM
ちょーきたいしてる。続き待ってます
...2013/08/14 07:44 AM
どうせだったら調教されまくる展開がいいな。ミニスカ、Tバックも、ひとみバージョンでみたいわ。
...2013/08/17 02:43 PM
そうそう。最初に調教済みの女がめちゃくちゃ出てきてるから、
瞳がいつここまで堕ちるのか、嫌でも期待が高まるってもんだわ。
...2013/08/21 04:38 AM
和希が最終的にはスッキリする、
瞳が究極に後悔するパターン待ってます。
見られてしまうパターンにも期待。
...2013/08/22 12:23 PM

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