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122 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 14:56:11 ID:4E51ZOMq
19.
俺の手は、自らの精液に汚れていた。
姉の絶頂を見届けた瞬間、俺は激しく射精していたのだった。
その鮮烈な闇の快楽は、これまでの人生で俺が経験したことのないものだった。
誰よりも大切な、この世でたった一人の家族である姉を、汚され、奪われた。
卑劣な、醜い、狡猾な中年男に。
憎んでも憎みきれない。八つ裂きにしてやりたいはずだ。なのに、なぜ?
だが、その時点で俺もすでに蓮沼の罠に囚われていたのだ。
すべてがヤツの計算どおりだったのを、間もなく俺は思い知らされることになる。
くちゅ、くちゅっ…と音がした。
蓮沼と姉が、淫らに、息のあった口づけをソファの上で交わしていた。
姉は、ふん、ふん…と鼻から甘い吐息を漏らし、うっとり蓮沼の口づけを受けている。
自らの腕を、蓮沼の首に巻きつけて。夢中で蓮沼の舌と唾液を貪っている。
やがて二人が口を離すと、唇と唇の間に、とろり…と粘っこい唾液の糸が引いた。
「うへへ。絵梨、もうすっかりワシの女やな」
「…」
姉は顔を真っ赤にし、蓮沼の厚く毛の生えた胸板に手をおき、甘えるように頭を預けた。
「…どれ。マンコにたっぷりワシの子種が入ったやろ。垂れ流して見せてみい」
蓮沼は、そう言うと、姉の足を開かせ、己の精を射込んだばかりの膣肉に、くちゅりと
指を入れ、数回、中をグチュグチュ、とまさぐった。
「…あん、んっ!」
快楽の埋み火にまた火を点され、姉はビクビク身体を痙攣させて蓮沼にしがみつく。
やがて蓮沼にほじくられた膣口から、どろり…と大量の精液がソファに垂れ落ちた。
「…ソファ…汚れちゃう…。敬ちゃんに…気づかれちゃう」
姉が哀願するように言った。
「うへっへへ。まだそんなこと気にしとんのか。どうせ近いうちにバレることや」
「…そんな。だって」
「何が、だってや。ワシの女やと、敬にバレるのが恥ずかしいんか」
「…恥ずかしい」
「恥ずかしくても、どうせいつかは言わなアカンことやろ。え?」
「……はい…。あんっ…やん…」
蓮沼の指が姉の乳首を摘み、転がすと、姉はすっかり男に甘え切ったた嬌声をあげる。
「ワシの女にされて、嬉しいんとちゃうんか?」
「…はぁっ…はい……うれしい…」
「ワシに処女散らされて、散々、キモチええセックス仕込まれて、しあわせやろ?」
「……はい…」
「ちゃんと返事せんかい」
「はい……絵梨は…キモチいいセックス…を…仕込まれて、しあわせ、です」
…なんてことだ。
性行為のあと、恋人同士が余韻を楽しみながら乳繰り合っている姿だった。
清楚そのものだった姉を、これほどまで淫らな女に変えてしまった蓮沼に俺は慄いた。
20.
「じゃあ、ちゃんと、敬に告白できるんやな?ワシの女になったことを」
蓮沼はさらにしつこく言い募った。
「…でも…」
姉は蓮沼の胸板に頭を預けたまま、甘えるように拗ねてみせる。
「絵梨、お前のワシへの気持ちを確かめとるんや。はっきりせんかい」
「……どうしても…敬ちゃんに、言うの?…こわい…」
姉は上目遣いで、じっと蓮沼を見つめた。全裸で、大きく股を開いた姿のままで。
俺の目には、蓮沼の精液をいまだトロトロ垂らしている姉の膣口が丸見えだ。
「そうや。怖かろうが何だろうが、言うんや」
「…は、い…」
姉はついに返事をした。俺への愛情より、蓮沼に対する隷従心が勝ったのだ。
「うへへっ。覚悟ができたみたいやな」
「……わかりました…」
執拗な蓮沼の確認に、ようやく俺は(おかしい)と不安を覚えた。
だが、その時には、もう遅かったのだ。
「よっしゃ!なら、話が早いわ」
蓮沼はおもむろにソファから立ち上がり、姉をぐい、と引き起こす。
「…?」
全裸の姉が、きょとんとした表情を見せた。
蓮沼は、姉の腕を引いてこちらへ近づいてくる。
まさか。まさか、蓮沼は…!!
俺はズボンとパンツを引き下ろし、射精したあとのペニスを握ったブザマな姿だった。
2階の姉の寝室の前で同じだったように、俺に逃げ場はなかった。
「あ…わっ…」
自分の口から情けない声が漏れるのを、俺は聞いた。
俺の漏らした声に、姉の細い肩がぴくり、と反応した。
そして、俺の隠れている部屋の襖は、蓮沼によって勢い良く、押し開かれた。
蓮沼と姉。全裸のふたりが、俺の目の前に立っていた。
姉は蓮沼に、細い肩を抱かれて、寄り添うようにして。
俺は、ペニスを握り、精液を自分の手に飛び散らせた姿で、ただ二人を見上げた。
次の瞬間、姉の鋭い悲鳴が、部屋に響き渡った。
124 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 14:57:25 ID:4E51ZOMq
21.
「きゃあぁぁっ、やぁっ、ぁああっ…!!」
姉はその場に、しゃがみこんだ。自分を抱きしめ、裸であることを必死に隠すように。
「…いやぁあぁァァ!」
姉は完全に、錯乱していた。
腰を抜かしたように尻を床にぺたんとつき、必死に後ずさりをする。
髪を振り乱し、ふたつの眼から涙をいっぱいに溢れさせる姉た。
一瞬だけ俺を見たその目が、怯えと恐怖に満ちていた。
これまで、一度足りとも、姉にそんな目で見られたことはなかった。
「…ね、姉ちゃ…」
俺は、懸命に言葉を振り絞った。このままでは姉は狂ってしまうのではないか。
「…いやだあぁ!!」
だが、俺の声は、姉をさらなるパニックに陥らせただけだった。
そして、その場を収めたのは、その成り行きをニヤニヤと見ていた蓮沼だった。
蓮沼は、姉の前にしゃがむと、姉の髪をぐいと引っ張り、強引に顔を上げさせた。
「…ひうっ…!」
姉が驚きとその痛みに、目を見開く。
蓮沼は、その姉の頬を思い切り平手で張り飛ばした。
パァンッ!という乾いた音が部屋に響いた。
「おら、落ち着かんかい!絵梨!」
ドスの効いた声だった。姉の顎を手で掴み、蓮沼は姉の目をじっと見つめた。
「…ひっ!…ひくっ!…」
姉はショックで、しゃくりあげた。さっきよりも、更に大きく瞳孔が開いている。
父と母でさえ、生前、俺たち姉弟に手を上げたことは一度もなかったというのに。
「よっしゃ、そうや。絵梨。息を大きく吸って、吐いてみぃ」
蓮沼が命じた。
姉は呆然と床にへたり込みながら、ロボットのように蓮沼の言われたとおりにした。
すう、はぁ、すう、はぁ…と姉が呼吸する音が部屋に響く。
蓮沼は、にやりと姉に笑いかけた。
「そや。それでエエんや。落ち着いたか」
「……」
姉は、真っ青になりながらも、こくり、と頷いた。
蓮沼が姉の顎を掴んだまま、姉の顔を俺に向けた。
姉の目からは、まだ涙が次から次へと溢れている。
「…もうバレたんや。ワシらの関係は、敬に。分かるな」
「………」
姉の目が俺を凝視している。その瞳には少しずつ理性が戻りつつあった。
「敬はな、さっき2階でワシらがヤッテたことも知っとる。覗いとったんや」
「……」
俺が、下半身を露出した姿であることも、姉はきっと認識し始めているだろう。
「どうせいつかはバレると決まってたことや。そうやな?絵梨」
姉の腕は、だらりと垂れていた。
蓮沼にすっかり蹂躙されつくした乳房、桃色の乳首、うっすらと股間を覆う陰毛。
もう覗き見ではなく、俺は姉の裸を間近で見ているのだった。
そして気付いた。姉の乳房には、いくつものキスマークが刻まれていた。
付けられて少し経った紫色のものもあれば、まだ生々しい桜色のものもあった。
いや、乳房だけではない。良く見れば、キスマークは姉の身体中に散らばっていた。
蓮沼に初めて抱かれた日から、姉の身体からこの痕が消えた日はなかったのだろう。
「…敬ちゃ…ん」
姉が、小さな声を、はじめて漏らした。
涙に濡れた目が俺を見つめている。俺は、その場にいたたまれなくなった。
蓮沼が笑った。
「しかし、敬。お前も大したタマやで。姉ちゃんのセックス覗いてオナっとったんか」
激しい羞恥に、俺は襲われた。
夢中でパンツをずりあげ、ズボンを穿くと、そのままリビングを飛び出した。
「…敬ちゃ…!」
姉の声が後ろで響いた。
だが、俺はそのまま階段を駆け上がり、自分の部屋へと逃げ込んだ。
126 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 14:57:56 ID:4E51ZOMq
22.
どれだけの時間が経っただろう。
自分の部屋で電気もつけず、俺はベッドの上に膝を抱えて蹲っていた。
少なくとも、1時間以上はこうしている気がする。
その時、階段をゆっくりと上ってくる足音が聞こえた。姉に違いなかった。
やがて、俺の部屋のドアが、遠慮がちにコンコン、とノックされた。
「……敬ちゃん…」
俺は答えない。ただ、膝の間に、顔を埋めた。身体がどうしようもなく震えた。
「…敬ちゃん。入っても、いい?…」
また姉の声がした。
俺の知っているいつもの優しい姉ちゃんの声だった。それが逆に哀しかった。
さっき見た姉の痴態がフラッシュバックし、俺は喉の奥で低く唸った。
ドアノブが、ゆっくり廻った。扉が開く。
廊下の光をバックに姉がそこに立っていた。光のせいで表情は読めない。
「……入るね…」
姉はゆっくりと部屋に入ると、そのまま後ろ手に扉を閉めた。
暗闇の中で、おれたち姉弟は向かい合った。
姉はもちろん、もう裸ではなかった。いつもの部屋着に着替えている。
しばらく、姉は何も言わなかった。沈黙だけが俺たちの間に流れた。
「………ごめん、ね」
やがて、姉は、そう言葉を搾り出した。
謝られて、俺の中に、ようやく姉に対する怒りの感情が湧き起こった。
何でこんなことに?何に対して、姉ちゃんは謝罪しているんだ?
「……何が、ごめんなの?」
俺は頭を膝の間から起こして、姉を見つめ、言った。
「……」
「何に、謝ってるの…?」
姉は、言葉に詰まったようだった。ごくり、と喉を鳴らす音がした。
「……敬ちゃん。聞いて」
それから姉は言った。
「聞きたくないよ」
「…」
「もう分かってるんだから。全部、全部見たんだからさ、俺」
「敬ちゃん」
「姉ちゃんが、ヤツとセックスして、喜んでる姿を全部見たんだからさ」
127 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 14:58:30 ID:4E51ZOMq
23.
俺は自分の言葉が残酷になるのを、止めることが出来なかった。
姉はさすがに、しばらくの間、黙り込んだ。
「…そう、だよね…」
それから、姉は寂しげに言葉を続けた。
「ぜんぶ、見られちゃったんだ…よね…敬ちゃんに」
「……」
「…軽蔑…したでしょ?…ごめんね…敬ちゃん」
俺は思わず声を荒くした。
「だから、何が“ごめん”なんだよ!」
「ごめんって、言ったのは」
姉は思い切ったように、間髪入れずに答えた。
姉は、何かをふっきろうとしている。それが分かって、俺は怯えた。
「ごめんって言ったのは」
姉はもう一度繰り返し、それから俺をじっと見つめた。そして、言った。
「お姉ちゃんが…鋭次郎さんを…好きになったこと」
頭を殴られたような衝撃だった。
分かってはいても。
姉の口から。蓮沼を好きなのだと。あんな卑劣な、狡猾な男を。姉が。
「…それから」
姉は続けた。まるで自分に言い聞かせるように。
「敬ちゃんに…黙って、何度も…何度も…鋭次郎さんと……」
姉ちゃん。やめてくれ。もうやめてくれ。
「こっそり…抱き合っていること……本当に、ごめんなさい…」
「なんで…」
「…敬ちゃん」
「…なんで…そんなこと言うんだよ…どういうことなの?…姉ちゃんは…」
「…」
「姉ちゃんは、まさか、アイツとこんなふうに、続けるつもりなの…?」
俺はようやく顔を上げた。そして、すがるように姉の顔を見つめた。
「…お姉ちゃん、ね」
姉は、もう視線を逸らさなかった。そして、答えた。
「もう、鋭次郎さんのものなの」
128 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 14:59:10 ID:4E51ZOMq
24.
息が苦しい。目眩がする。背筋を汗が流れるのが分かる。
姉ちゃん。嘘だろ。今、なんて言ったんだ?
姉ちゃんは、アイツのもの?自分でそう言ったのか?
俺はもう自分が何を考えているのかすら、分からなかった。
だが、俺の口はそれでも勝手に動きつづけた。
「…なんだよ、それ」
「…」
「お、俺と…、どっちが」
「……敬ちゃん」
「…俺と、アイツと、どっちが…大事なんだよ」
暗闇の中で、ようやく姉の表情がはっきり見え始めた。
姉は、苦しそうな表情をしていた。唇を噛んで。そのことがさらに俺を傷つける。
ダメだ。これ以上、追いつめちゃダメだ。だが、自分を止めることが出来ない。
「…聞いてるんだよ!俺とアイツと、どっちが大事なのかって!」
「………敬ちゃん」
姉は、俺にゆっくり歩み寄ってきた。そして、ベッドの前まで来て、膝を付いた。
数十センチの距離に、姉の顔があった。
こんな表情も、今までに俺は見たことがなかった。
なんて辛そうな表情なんだろう。しかし、その表情はあまりに美しかった。
つぅ…と、姉の頬を涙が伝って落ちた。
「…ごめんなさい、敬ちゃん」
姉は言った。それが、姉の答えだった。
「…敬ちゃん、お願い…認めてください」
姉は、俺に向かって頭を下げた。
「もう、お姉ちゃん…鋭次郎さんが…」
それ以上は、言葉にならなかった。
「……」
「お願い。敬ちゃん…認めてください…」
すべて、蓮沼に命じられた台詞だったのかも知れない。
だが、そうだとしても、姉はその筋書きを受け容れている。
俺の心は、おそらく、その時に壊れてしまったのだろう。
姉は俺に深く頭を下げていた。床に頭を擦りつけ、弟である俺に懇願していた。
俺のことを何より大事にしてくれた姉。いつも俺を守ってくれた姉。
その姉が、俺よりも大事になった男のために、俺に頭を下げていた。
「…もう」
俺は感情を失った声で言った。
「もう、俺は…姉ちゃんの一番じゃないね」
姉はその問いに答えなかった。ただ何度も「ごめんなさい」だけを繰り返した。
暗い部屋の中に、姉の哀しげな嗚咽だけが響いていた。
129 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 14:59:56 ID:4E51ZOMq
25.
日常は続いていく。
あの夜以後も、表向き、俺たちの生活は何も変わらない。
俺と姉は学校へ通い、蓮沼は道楽のような不動産事務所で一日を過ごす。
だが、姉が朝と夕に用意する食事は、蓮沼の好物が出ることが多くなった。
ただ、一週間に2、3回、俺が寝静まる頃に、姉の寝室の扉が静かに開く音がする。
そして、俺の部屋の前を、忍びやかに姉の足音が通り過ぎていく。
姉の足音は、そのまま階段を下り、明け方になるまで戻っては来ない。
そんな夜、俺はベッドの中で、まんじりともせず夜を過ごす。
そして、今まさに俺の真下の蓮沼の部屋で、蓮沼に抱かれている姉を思う。
闇の中で感覚は鋭敏になり、やがて俺の耳に、階下の物音が響いてくる。
ギシッ、ギシッときしむベッドの音や、姉の快楽の啜り泣きが聞こえてくる。
そして、モーターが動くような機械音も。
ふたりが、お互いの体液にまみれて、貪欲に求め合っている姿が浮かんでくる。
姉は蓮沼にありとあらゆる痴態を取らされ、新たな快楽を植え付けられる。
姉は蓮沼から逃げることは出来ない。俺に、姉を救うことは出来ない。
一度、蓮沼も姉もいない時に、蓮沼の寝室を覗いた。
姉が掃除をしてはいるのだろうが、そこには濃密な男と女の匂いが漂っていた。
テーブルの上には、姉が嫌っていた煙草や灰皿も置いてある。
俺は、ゆっくりと蓮沼の部屋に踏み込んだ。
箪笥の引き出しを開ければ、そこには淫らな玩具がこれ見よがしに並んでいた。
何種類ものバイブや、ロータ。
バイブには、明らかにアナル用と分かる物も並べられていた。
淫らな下着も、数多く仕舞われていた。
夜な夜な、蓮沼に淫らな下着を着せられ、淫らな玩具で姉は弄ばれているのだろう。
棚に収められていた古いアルバムも、俺はこっそりと開いてみた。
そこには、母がいた。
もちろん、それはただのスナップ写真ではない。
俺の母が蓮沼の性の奴隷であった証拠の映像が、何百枚もそこに収められていた。
(敬ちゃん、ご飯よ)
(敬ちゃん、お父さんを呼んで来て)
(敬ちゃん、お姉ちゃんと仲良くしなきゃダメよ)
いつも優しい笑顔で俺に接していた母。だがそれも表の顔に過ぎなかった。
蓮沼のような鬼畜に狙われれば、母ですら屈服せざるを得なかったのだろう。
そして姉は、蓮沼にこの写真を見せられ、泣きながら抱かれたのだろう。
130 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 15:01:14 ID:4E51ZOMq
26.
別の引出しには、蓮沼の通帳が仕舞われていた。
父と母の遺産が、すべて姉の口座から蓮沼の口座に振り込まれていることを知った。
俺には何もする気はない。もう姉をこれ以上傷つけるつもりはないからだ。
姉を取り戻そうとする気力も、湧き上がって来ることはない。
すべてこれは、俺の愛する姉の選択なのだ。
深夜、姉の寝室の扉が、また静かに開く。
姉が俺の部屋の前を通り過ぎるとき、俺は初めて、自分の部屋の扉を開けてみた。
姉は、少し驚いた表情で、俺を見つめる。
廊下の窓から、月明かりが射していた。
月光に照らされた姉は、美しかった。綺麗だった。
恋する男のもとへ向かおうとする怖いほどの艶を、姉は身に纏っていた。
「…敬ちゃん…?」
「なんでもないよ」
「……」
姉はしばらくの間、俺を見つめていた。
暗闇の中で見る姉の目は、まるで何かを値踏みする狡猾な猫の目のようだった。
「……もう寝なきゃダメよ」
「うん」
姉は哀しげに微笑して、小さく頷いた。そして、俺に背を向ける。
もう一度、ちらりと俺を振り向いてから、姉は静かに階段を下りていった。
今夜も俺は、眠れずに朝を待つのだろう。
いつか、この牢獄から、巣立つ日のことだけを希望に。
月明かりの射す廊下に俺はひとり、永遠のように取り残されていた。
(完)
131 名前:アネトラレ 投稿日:2008/12/05(金) 15:05:44 ID:4E51ZOMq
何とか終わらせることが出来ました^^;
遅筆でしたが、待ちながら読んで下さった方がたに感謝です。
弟の敬についてはもう一つ仕掛けを用意してあったのですが、
展開上、今回は不発に終わりましたw
気分が乗れば「アネトラレ・裏」でお会いしますが期待はしないで下さいw
それでは、ひとまずさようなら。
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Comments
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