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713 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:42:11 ID:kDEdZuxw
1.
父と母が不慮の交通事故で死んだのは、俺が13で姉が17のときだ。
若い頃駆け落ち同然に結婚したと言う両親からは身寄りの話を聞いたことがなかった。
ところが、父が投機で残した遺産が相当の金額に上ることが分かった頃、
ふらりと俺と姉の前に、ひとりの男が現れたのだった。
蓮沼鋭次郎。関西在住の40半ばを過ぎた中年男だった。
でっぷりと突き出た腹に、薄くなった頭髪が撫で付けられもせずに乱れたまま。
外見で人を判断するのは良くないが、生理的嫌悪感がなかったと言えば嘘になる。
「ワシはな、君らのお母さんの、まあ、遠い親戚にあたるんや」
蓮沼はそう自己紹介した。親戚づきあいのない父母だったが、母はこの蓮沼とは、
定期的に便りを交わしていたのだという。
「失礼ですけれど」
姉は、蓮沼の話をひと通り聞いた後で、ゆっくり口を開いた。
「貴方が母のご親戚だという証拠のようなものは、あるんでしょうか?」
失礼にならない程度の口調で、しかし、その言葉の中には自分達の生活の中に
闖入しようとする男であれば、断固として排除しようとする凛とした響きがあった。
蓮沼は、うはっ、と声に出して笑った。
「いやあ、朋ちゃんから聞いてはいたけど、しっかりした子やな。絵梨ちゃんは」
蓮沼は、母のこと(本名を朋子という)をいかにも親しげに“知ちゃん”と呼んだ。
さらには初対面の姉にすらちゃん付けをするこの男に、俺は不快感を持たざるを
得なかった。
2.
「さすがに戸籍謄本とか持って来たわけやないけどな、これがあるんや」
蓮沼はそう言うと、古い黒鞄の中から、おもむろに何通かの封書を取り出した。
「朋ちゃんから、もらってた手紙や。まあ見てくれたらエエで」
その封書は、確かに、見慣れた母の筆跡によるものだった。
封書の表には、達筆で“蓮沼鋭次郎様”の文字があり、その裏面には我が家の
住所と“早川朋子”と名前が記されていた。
蓮沼と、母が連絡を取り合う仲だったことは事実のようだ。
手紙の中身は、蓮沼への俺たち家族の近況報告が主だった。
季節の挨拶から始まり、身の回りの出来事や、俺たち家族のことに触れ、最後に
蓮沼の健康を祈念する言葉で終わっているものがほとんどで、最新の手紙は2ヶ月
前に投函されていた。
「…わかってくれたやろ?」
蓮沼が笑いながらそう聞いた。
姉は、じっと封書の束を見つめていたが、やがて小さく頷いた。
「朋ちゃんのことはホンマに気の毒やった。しばらく連絡がなかったから
何かあったのかと思うとったら…それで、慌てて飛んで来たわけや」
蓮沼の言葉は、一応の辻褄が合っている。
「…のぅ、絵梨ちゃん。まだ君ら姉弟は、ふたりで生活するには若すぎるやろ。
親の残してくれた財産の管理とかも、まだ無理やと思うで」
姉に、蓮沼は諭すように言った。だがその目の奥はどこか計算高く光っていて、
俺は本能的にこの男に危険な匂いを感じざるを得なかった。
「今、ワシは不動産屋をやっとってな。嫁さんとは数年前に事情で別離れたんやけど、
そのせいで、うまいことっちゅうか、家に空き部屋もあるんや」
715 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:46:51 ID:kDEdZuxw
3.
「絵梨ちゃんが大学を卒業するまでは、ワシのところに姉弟で住んだらエエ。
別にワシは金が欲しいわけやないで。ご両親のお金は貯金したまま、絵梨ちゃんが
保管しとけばエエんやからな」
「ただ、一緒に暮らす限り、毎月、ある程度の生活費は出してもらえばエエだけや」
蓮沼は畳み掛けるように、俺たちに話した。
蓮沼が辞した後のその夜、俺と姉は二人で話し合う時間を持った。
「…敬ちゃん。お姉ちゃんね」
姉は静かに、そう切り出した。姉の気持ちが俺と同じらしいことは分かった。
「あまり、あの人を頼る気にはなれない。でも…」
まだ子供だった俺は、姉の言葉を待つしかなかった。
「私たち二人で生活していくのは確かにまだ無理と思う。だから…あの人の家に
厄介になりましょう」
「…」
俺は胸に妙な不安が渦巻くのを感じながらも、頷くしかなかった。
「…大丈夫。私は短大に行って、あと2年で卒業するから。そうしたら
私が働いて、ふたりで一緒にどこかで暮らそう」
姉はそう言って、俺の不安を打ち消すように、優しく微笑った。
俺はそんな姉が、好きだった。これまでも、そしてこれからも。
早く頼り甲斐のある男になって、姉を助けなければ。そう思った。
716 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:48:21 ID:kDEdZuxw
4.
全てが狂ってしまっていたのを知ったのは、叔父の家に住むようになり、
半年を過ぎた頃だった。
俺は、転校した関西の中学に馴染めず、友人と呼べる相手も出来ないまま、悶々と
した日々を送っていた。
だが、その日は珍しく、クラスメートの一人から放課後の遊びに誘われたのだ。
おそらく、いつもポツンとしている俺に気を遣ってくれたのだと思うが、それでも
俺は嬉しかった。
朝、叔父と姉とで囲む朝食の場で今日は帰りがいつもより遅くなることを言うと、
姉はことのほか、嬉しそうな表情を見せた。
「そう。良かった。敬ちゃんにもそろそろ、いい友達が出来たんだね」
バサッ…とスポーツ新聞を広げながら蓮沼が俺の方を見た。
蓮沼は普通の新聞を取っていないくせに、スポーツ新聞を3紙も取っている。
引っ越して来た当初は、食卓で風俗の情報ページを大きく広げて読むのに、
姉が強く抗議したものだ。
その後、しばらくは収まっていたが、最近、またその癖が出始めている。
だが、姉はなぜか、もう蓮沼を注意をしようとはしなかった。
「そうか、ゆっくり遊んできたらエエで。多少遅くなっても。なあ、絵梨」
717 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:50:09 ID:kDEdZuxw
5.
蓮沼が俺と姉を呼び捨てにするようになった日のこともよく覚えている。
ちょうど二ヶ月前のことだ。
なぜか先に呼び捨てにされたのは姉で、翌日から俺も呼び捨てになった。
「エエ朝やなあ!おはよう、絵梨」
朝の台所に入ってくるなり、朝食を作る姉を蓮沼が突然呼び捨てにして、
俺はかなり驚いた。
「…おはようございます」
姉は味噌汁を火に掛けながら、蓮沼の方を振り返らずに、小さく言った。
俺は、きょとんとして二人を交互に見つめた。
だいたい、深夜まで酒を飲んでいることが多い蓮沼は、朝は不機嫌気味で、
だんまりを決め込んでいることが多い。
逆に、人と挨拶する時や話すときは礼儀正しく、きちんと相手を見つめて明るく
話す姉が、その朝は妙にそっけないことも、意外だった。
「なあ、敬くん、ホンマに素晴らしい朝やで。がははははっ」
異様に上機嫌な蓮沼は、朝からダミ声で野卑な笑いを響かせた。
朝食の後、いつもは一緒に家を出る俺と姉だったが、セーラー服姿の姉は、
玄関で俺に言った。
「お姉ちゃん、部屋に忘れ物しちゃってた。敬ちゃん、先に行ってて。ね?」
「あ…うん、わかった」
俺は頷き、姉を残してひとり家を出た。
通りに出て、蓮沼の家の塀沿いに歩く。塀の向こう側に、家の台所が覗ける。
自営業の気ままさか、まだリビングの椅子で新聞を読む蓮沼が見えた。
そこへ、姉が入ってくるのが見えた。
忘れ物をしたのは2階の自分の部屋にではなかったのだろうか。
姉は、蓮沼に何かを話し掛けていた。
どうしたんだろう…。やや訝しく思ったものの、俺はそのまま学校へ向かった。
そしてその翌日から、俺は、蓮沼に呼び捨てにされるようになった。
718 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:51:39 ID:kDEdZuxw
6.
「そうか、エエことやな。ゆっくり遊んできたらエエで。多少遅くなっても。
なあ、絵梨」
蓮沼が姉を呼び捨てにすることには慣れて来ていたが、この時、そんな回想が
俺の頭をふとよぎっていった。
「……ええ。せっかくだから、ゆっくり遊んできて大丈夫よ、敬ちゃん。
でもあまり遅くなりすぎちゃダメよ」
「…6時や!6時まで遊んでてもエエで。敬。なあ、絵梨」
時刻まで指定し、蓮沼は、ことさら姉に向かって念押しをした。
「…そう、ですね。敬ちゃん、6時まで…遊んでらっしゃい」
姉はなぜか困惑した表情で、蓮沼の提案を肯定した。
「うん。じゃあ、そうするよ。姉ちゃん」
妙な感覚に襲われながらも、俺はそう答えたのだった。
だが、その放課後、俺は予定よりかなり早く帰宅することになった。
クラスメートの家で俺たちはプレステなどのゲームに興じていたのだが
その家の父親が急に早い帰宅をすることになったため、午後4時には解散に
なってしまったのだ。
けれども、俺は、誘ってくれたクラスメート達とやや打ち解けることが出来、
満足した気持ちで家路を辿っていた。
(あまり早く帰ると、また姉ちゃんが、うまく行ってないのかと心配するかな)
そんなことを思いながら俺は家に辿り付き、合鍵で玄関の扉を開けた。
「ただいま」
靴を脱ぎ、台所に向かって声を掛けたが、返事がない。
いつもなら、姉が夕食の準備を始めているような時間だった。
「まだ帰ってないのかな?」
蓮沼はまだ仕事だろう。いつも午後から自営の不動産屋の事務所を開け、
何をしているのかは知らないが、帰りは20時過ぎになるのが常だった。
(着替えるか…)
「…くふぅ、ん……っ」
その時、2階に続く階段の上から、声が、聞こえた。
719 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:53:45 ID:kDEdZuxw
7.
くぐもったその声は、女性のものであるとすぐにわかった。
2階には俺の部屋と、姉の部屋がある。蓮沼の部屋は1階の奥にあった。
俺も、性知識が全くないわけではない。
その声が、そういう行為の時に女性が漏らすような声であるとすぐに気付いた。
俺の胸は、急に強く動悸を打ち始めた。まさか。
俺は自分でも知らぬうちに息を潜め、足音を立てずに、階段を上り始めた。
その最中にも、声はひっきりなしに、漏れ聞こえて来た。
「んぁ…っ」
「やぁ…あんぅ…」
俺の眼窩は大きく見開かれていた。身体中に汗が噴き出すのを感じる。
声は、紛れもなく、姉の部屋の中から、聞こえてきている。
まさか。そんなことがあるわけない。姉ちゃんが? 誰と?いや、そんなはずはない。
俺の頭の中は、洪水のように整理しきれない感情に満ち始めていた。
「…あぅ、ひぃ。ひっ…!」
淫らな女の嬌声。それが、はっきりと姉の部屋から響いた。
俺はまるで無意識のうちに行動を起こしていた。
その場に這いつくばり、まるで戦場の兵士が匍匐前進するような格好で
廊下を進んだ。
手前に俺の部屋があり、その奥に姉の部屋の扉がある。
その扉が、わずかに開いているのが、見えた。
俺はその隙間を、凝視していた。思考は完全にストップしていた。
ゆっくり、気配を殺し、俺は廊下を進んだ。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ…
肉と肉が、ぶつかり合うような音が、じょじょにハッキリ聞こえて来た。
はぁ、はぁ、という湿った男の荒い息。
それに合わせて、あっ、あっ…と女の声が、いや。
間違いなく、姉の声が聞こえた。
姉ちゃんが…セックスをしている……あの扉の向こうで。誰と?
事実を受け容れることは出来ず、頭が割れそうに痛み始めた。
喉はカラカラに乾いている。大量の汗が俺の額を伝い、廊下に垂れた。
そして俺はついに姉の部屋の前に辿り付き、床に這いつくばったまま、中を覗き見た。
720 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:55:22 ID:kDEdZuxw
8.
その光景は、俺の目を…いや、脳髄を、貫いた。
俺の網膜にすべてが焼き付いた。生涯、俺が死ぬまで忘れない、その光景。
ベッドの上に、真っ裸の姉がいた。生まれたままの姿の姉が、いた。
犬のような格好をしていた。ベッドの上で、姉は俺にお尻を向ける形で
四つん這いになっていた。
姉が年頃になってからは見たことがなかった、裸身。
細く、美しかった。背中から腰へ、しなるような曲線が降りていた。
そして腰を境に、曲線は今度は柔らかい上昇カーブを描き、真っ白な、まるで
水蜜桃を思わせる形の良い尻へと繋がっていた。
だが、その尻は、醜い男の身体で隠れていた。中年の、緩んだ男の背中。
黒く、毛の生えた腕。手。節くれだった太い指が、姉の尻肉に食い込んでいた。
浅黒い男の背中から、脂ぎった汗が、尻へ流れた。でっぷり肥満した腹部。
毛穴の大きい、吹き出物の浮いた、汚い尻。
だが、男は、激しく己の腰を動かしていた。卑猥な動きで、前後させていた。
その腰は、姉の尻に何度も何度も、打ち付けられていた。
ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!…そのたびに、男の腰と姉の尻がぶつかる肉音が響いた。
男は、蓮沼だった。蓮沼鋭次郎だった。なぜ。なぜ蓮沼が、姉と。
母の親戚だという男。その男が、俺の大事な姉を、犯していた。
なぜ。どうして。なぜ。なぜ。なぜ。
721 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 17:57:08 ID:kDEdZuxw
9.
「…おおおっ!エエで、オマンコええでっ…絵梨!うあはぁ、はぁ、はぁ」
その時、俺を現実に引き戻すように、蓮沼が大きな声で叫んだ。
「やぁんっ…!やっ、あっ…あんっ…え、えいじろ…鋭、次郎さんっ…!」
蓮沼に応えるように、姉がソプラノの綺麗な声で叫んだ。鋭次郎さん、と。
いつの間に。姉は、いつの間に…こんなことに。
姉の腰が、ガクガクと動いていた。姉は、腰を淫らにくねくねと振っていた。
姉の汗が飛び散った。窓から射す夕陽に、その汗はキラキラと光った。
「うおおぅ、絵梨、絵梨、ワシの絵梨ぃ、イクで、イクで、出すでえっ!」
「きゃぁ…んっ…だめっ、えいじろ…さんっ、今日、いやぁ…!」
「おおおおっ、たまらんで、絵梨ぃぃぃ〜〜!」
ずうん、と力強く蓮沼は腰を送り込み、まだ17歳の姉の中心を抉った。
「ひぃっ、イ、イクっ!イクぅっ!!」
いつも清楚で慎ましく、優しかった姉。
その姉が、男にセックスの絶頂を告げていた。
俺が見たことのない姿を、蓮沼だけに晒していた。
肩まで伸びている髪を振り乱し、姉は首を振りたくった。柔腰は、ガクガク痙攣する。
「むぉおおぅ!…」
蓮沼の腰も、同じく、ビクビク震えていた。
射精しているのだ!蓮沼が。姉の、膣に。姉の膣の中に。胎内に!
あの汚らしい男と、姉が、子供をつくる神聖な愛の行為を交わしているのだ。
「おおおぅー、たまらんっ…おっおうっ出る、まだ出るでぇ…!絵梨ぃ〜」
蓮沼は、最後の一滴まで精液を流し込もうと言うように、腰を強くねじ込んだ。
「……がぁ…っ!!」
姉が、まるで獣のような叫びを迸らせた。
いつも落ち着いて、理知的で、清楚な姉。
こんな声を、その姉が漏らすなど、想像したこともなかった。
しかし、それが歓喜の叫びであることは、性経験のない俺にも分かった。
姉は蓮沼の手で女にされ、絶頂の極みに押し上げられたのだ。
姉は、背中をぴいん、と突っ張らせた。
「…ぜはっ…ぜぁぁっ…」
姉の喉が、肺から完全に失われた空気を必死で求める引き攣れた音を立てた。
この角度から見えないはずの姉の表情が、俺にははっきり見えた。
姉は白目を剥き、口を痴呆のように開け、涎を口の端から垂れ流している。
俺の姉が。俺の、大切な、世界にただ一人の姉が。
そして姉は、蓮沼に貫かれたまま、糸が切れた人形のようにベッドに崩れ落ちた。
722 名前:アネトラレ 投稿日:2008/10/22(水) 18:00:38 ID:kDEdZuxw
>>691ですが、とりあえず、投稿してみますたw
本日はここまでです。
あまり長くやるのも何なので、次回投稿で終了を目指します。
んで、気分が乗れば、ちょこっと舞台裏バージョン(蓮沼視点か絵梨視点)を書こうかなぁ、と。
それでは、またw
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