〜3.彼女にとって不必要な出会い〜
青山三丁目駅を出て五分程の小洒落た洋風居酒屋の個室。
一見で所謂「リア充」と分かる男女6人が、これからまさに合コンに突入、会話の花を咲かせようとしていた。男性は3人とも背が高く、さわやかな印象の好青年ばかり。女性も皆周りとは一線を画すような美貌を誇り、1名を除いてニコニコと男性との会話に積極的に絡んでいく。
乾杯が終わって間も無く、化粧室に立った麻衣を追い掛ける瞳。その表情はやや固く、不安の色が滲み出ていた。
「なんで男の人がいるの?」
「ごめん、でも最初からそれ言ってたら瞳、絶対来てくれなかったでしょ」
悪びれもせずに、やや眉を八の字にして舌を出す麻衣。その小悪魔的な表情に、いつも周りの男だけではなく、女までもが騙されてしまう。でもそれが彼女の魅力の一つである事も皆分かっていた。
たまにムカつくけど、何故か許してしまう、そんなキャラの彼女を瞳は羨ましく思う事もあった。